現在は,超高齢社会の中,自分に何かあった時のため,財産承継を円滑に行いたい,自分の財産を他の信頼できる第三者に管理・運用してもらいたい,というニーズが高まっています。
信託は,金融機関や保険会社などで商品化されていたため,もともとは商事信託で活用されていました。これは,信託報酬を得るために行われる営利目的の信託です。
商事信託では,財産を託される受託者の主体が信託銀行などであり,営業として信託を引き受けています。そのため,受託者は信託業法による規制を受け,一定の免許も必要とされています。その後,平成18年12月に信託法が改正され,営利目的でなければ,一般の個人も受託者になれるようになりました。
民事信託では,この営利目的を持たない一般の個人が受託者として財産を託されることになります。民事信託では,営利目的を有せず,信託報酬を受け取らないため,信託業法の規制は受けません。
民事信託の場合,信頼できる親族など,受託者になってくれる人を探す必要があります。また,信託を利用することによる節税が認められていないため,税制上はメリットがないという点が問題です。
信託では、財産を相手に託す人を委託者といい、託される人を受託者、そして利益を受ける人を受益者といいます。
不動産であれば名義を委託者から受託者へ変えてしまい、不動産から得られる利益を受益者とするというように、形式上の名義は受託者に書き換えることで利益を受ける人と管理する人とを分けるという点があります。
また、遺言では二次相続まで指定できなかったのが、信託であればさらにその次の相続まで財産の帰属を指定できるという特色があります。
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